また、同じネタ?*1
このブログには初参加になります、京音のWatsonと申します。
初回から締め切りを破る狼藉を恥じ入る次第です。
DAOコン*2を使わないときに収納したくなったので、使うときにすぐ取り出せるような収納を作ることにしました。
そこで思い当たったのがゲートレッグテーブル*3という天板を折りたためるテーブルでした。
設計や部品選定に丸々一日を潰したりしながらも、なんとか形に持っていくことができました。
序文
DAOコンは、机の結構な面積を占めます*4。例えば、筆者が持っているFPSというモデルでは、実測で幅470mm, 奥行217mm, 高さ88mm(脚から台まで、皿の突出部までは120mm程度)、となります。DAOコンのデファクトスタンダードであろう、PHOENIX WAN*5では、幅520mm, 奥行270mm, 高さ80mmと書かれています。
そのDAOコンは、使わないときはろくに物も置けず視界で目立つ邪魔な置物と化します。かといって、棚にしまっておくと使うときに取り出すのが面倒になります。
使わないときはその場で隠して、使うときだけ広げる、というような収納機構ならば、その要請が満たせるでしょう。
DAOコン1台だけならいくらでも対応のしようがありましょうが、DPにおいては、プレイユニットの幅は1mを超え、普通のテーブルではどうにも収まりきらなくなってしまいます。
また、収納自体が占める空間も小さく収めたい、と思うと、ほとんどの家具が選択肢から消え、結局自作する選択肢を取ることになっていきました。
設計
さて、どんな材質で作るか。
メタルラックでは、天板の不安定性を指摘するブログ(ふけんこ~の弐寺日記 (beatmania IIDX): INFINITASプレイ環境l導入)がありました。
なので、しっかりとした骨組みのある構造にしたい、という方針で設計を始めました。
しかし同時に、木材は切り出しの工程への心理的抵抗感が強く、避けたくもありました。
そこで出会ったのが、G-Funというアルミフレームの組立システムでした。
このアルミフレームを使えば、既製品とそれほど変わらない負担で自分だけの家具が作れるだろう、と踏んで、この材料での製作を決意しました。
実は記事での着想の順番は入れ替わっており、ホームセンターでG-Funの売り場を見て、このアルミフレーム材料で何か作りたくなり、そこでコントローラー台を作ろうと思い至った、という半ば本末転倒のような順番が真相です。
折り畳み機構
ゲートレッグ機構そのままでは、畳んだときにコントローラーが剥き出しになって取扱いが難しくなり、さらに、広げたときに固定する点の中央面からの距離を取れず不安定な構造になると予想されます。
ですので、今回は、ゲートレッグを中央から左右に引っ張り出して、天板を脚の内側にしまうような構造にアレンジしました。
寸法
既に、SUS社の図面作成サービスに頼んでいてはブログに間に合わない段階まで来ていたので、フリーハンドのスケッチをこねくり回しながら寸法の計算を進めました。
寸法の前提知識
ダブルプレーにおける左右コントローラーの間隔は、1P7鍵と2P1鍵の黒枠の端どうしの距離で189mmと言われています。この距離は、FPSコンではユニットを110mm離した間隔に相当します*6。
設計時は、PHOENIX WANこそがDAOコンのスタンダードである、という思想を勝手に抱いており、それゆえに、PHOENIX WANの寸法に従って天板のサイズや奥行の調整を行っていきました。
FPSはPHOENIX WANよりも小さいので、立て板を天板に止めるなどの方法で、コントローラーの間隔を確保できる、という事実も上のPHOENIX WANに従う設計を進める後押しとなりました。
特にゲートレッグの奥行の設定に苦労しました。畳んだとき直方体型を乱さないよう短く、かつ展開時に天板を固定できるよう長く、という制約が課され、しかもその制約は、外枠との接続用のフリーコネクタ*7の張り出しも加味する必要があって、シビアなものとなっていました。
コスト算出
基本的に、固定方法を問わず、固定部品より可動部品の方がコストは高くなります。
その機構がゲートレッグと天板、DPなのでその2倍、計4組存在するので、その部分がかなりのネックになりました。
ゲートレッグや天板の関節部分に各種可動パーツより安価なフリーコネクタを採用したり、外枠のフレームの長さを、既製品が使えて安上がりな600mmに統一したり、とコストカットを微力ながらやってみましたが、可動機構のコストの前には焼け石に水でした。
発注
Excelで部品リストを書いて、G-Funの部品はG-Funの公式通販サイトにて購入。
この1件の発注だけで、予算3万円のところが既に出費は3万3千円を超過。
組立
注文から4営業日くらいで届きました。
この段階でも箱の大きさや金属製品という事実からは想像できないほど軽く、仕上がりへの期待度が高まっていきました。
G-Funでは、アルミフレームの固定はほとんどがコネクタを締めるだけで、穴あけも接着剤も不要、ととても組み立てがお手軽です。
さらに工具は、たとえばNシリーズであれば5mmのレンチ一本だけでほとんど事足ります。あとはキャップを付けるときのゴムハンマーくらいでしょう。
このネジ締めは位置角度の微調整が効きにくく、少し緩めただけでコネクタとそれに差さっているフレームが脱落しやすいです。なので、なるべく床の上などの安定した場所で行うようにしましょう。筆者は机の脚へのフリーコネクタの取付で気が狂いそうになりました。
また、緩み防止のためにボルトを締結しなおすことがあるでしょうが、そのメンテナンスの折で、レンチを回すときにどのフレームとボルトが干渉するかを想像しながら、コネクタの向きを考えましょう。
進捗
まずは外枠部分をつくります。
そして、ゲートレッグと天板の骨組みを作って取り付けます。
長さ指定の切断サービス*9の公差が良く端面もきれいで、運ばれてきたそのままでも支障なく組み立てることができたので、このサービスは本当におすすめです。
規定長さのフレームから自分で切断した方が一見安上がりですが、素人施工で大きな公差や粗い切断面に泣くリスクを避けて*10、業者に任せた形です。
この時になって、折り畳み時のコントローラーの支えとなる機構を忘れていたので、ホームセンターで部品を購入。取付のときにアングル部品が裏のフレームと干渉する、という詰み状態が起こらなかったのが幸いでした。
コードレスドリルの電池切れや、天板とボルトの干渉に悩まされながらも、なんとかコントローラーを置くまでにこぎつけられました。
結果
ひとまずコントローラーを置いてみましょう。
アルミ素材の軽さと成果物の左右対称性ゆえに、DAOコンを載せた状態でも片手で持ち上げられるくらいの重さに仕上がりました。
コスト
当初、予算は上のNORDENくらい、つまり3万円を見越しておりました。
しかし、部品を買い足すうちに、予算を7千円ほどオーバー*11。採用を見送った部品の価格を引けばもう少し安くなるとは思いますが、下の課題の解決のためにまた買い足すことになるので最終的な費用はもっと上がるでしょう。
畳む?
畳むときに問題が発生。
DAOコンの重心が想像より高く、折り畳んだときにDAOコンが外側に倒れる状態になっていました。
立て板をDAOコンのネジで固定したり、天板裏から内側に出ているつっかえを伸ばしたりすれば解決するでしょう。しかしそれは労力を要するので後日直すとして、ひとまずテープを巻いて仮固定としました。
ここで、畳んだ状態でゲートレッグを固定する部品がない、という問題にも行き当たりました。これも、クロスコネクタで外枠から出っ張りを設ければ解決しそうです。
反省
仕様確定の甘さと、部品発注のもれだぶりのために、余分な購入や出費の発生があったのが反省点として上げられます。スケッチにチェックマークを設けるなどして対処可能でしょう。
結び
DIYで既製品と同等の製品をより安く作ろうとするのは、かなりの困難を伴います。
一方で、カスタマイズや改造の高い自由度、それゆえの自分だけへの徹底的な最適化可能性がDIYの強みでもあります。
それの意識とアルミフレーム買った金と設計に悩んだ日数から来るコンコルド効果によって、ここまで励むことができました。
まだ完成とは程遠く、細部の工程がまだ残っていますが、その進捗についても追って報告できたらと思います。
あとSUSさん、Sシリーズにある、グリップした軸に垂直な面にだけ回転するリンクコネクタのNシリーズ版が欲しいです。今回は球面に回転するフリーコネクタを使ったので取り付けが大変でした。
それでは、最後までご覧いただき、ありがとうございました。
おい、研究はどうした
*1:2018年の京音会誌に引き続き、Watsonの単著記事でDIYネタは2回連続
*2:ここでは、DJ DAO氏が製作するゲーム用コントローラーのうち、とくにbeatmania IIDXおよびそのクローンゲーム専用のコントローラーのみを指す
*4:WatsonはDPerなのでDAOコンも2台持ち、DAOコンに何かするコストもSPerのほぼ2倍
*7:フレームを自由な角度で取り付けられるコネクタ。この記事では、特記なきときは、SGF-0101 GFunフリーコネクタインナーVMを指すとする。
*8:直角状に2本のフレームを固定しているコネクタ。商品ページ
*9:事前にG-Funへの会員登録が必要。
*10:電動丸鋸などの大型工具があればいいでしょうが、それを一人暮らしの部屋に置くのは現実的ではありません
*11:工具、ネジ代を除く