皆様、こんにちは。「DOMINA COLLECTER」うえっふぃーです。*1
今回の記事は、DOMINA GAMES様のボードゲーム「MIRARIS」をPythonを用いてシミュレーションし、どんな戦略を用いるとどんな結果になるのかを検証したものになります。
はじめに
先日、学科の仲間たちとMIRARISをプレイする機会がありました。（MIRARISはルールがそこまで複雑ではなく初心者とも遊びやすい、それでいてゲーム性が奥深い、人数の受け皿が広い、1ゲームにそこまで時間がかからないなどの理由から私が最も重宝するボードゲームのひとつです。）
ところで、弊学科は情報系にひじょ～～～～うに強い人がたくさんいるのですが、一緒にプレイしてた一人が
「このゲーム、プログラム組んでシミュレーションできそう」
なるほど・・・
keionkakimasen.hatenadiary.com
MIRARISについては過去に学会によってキャラTierリストが制作されている（上記の記事参照）のですが、実際に試合をしてデータを取ったあちらと違ってプログラム上でなら何万回と試行できます。
BIGデータで、殴るぜ！！！
以降は実際にシミュレーションを回してくれた友人からもらった報告書をもとに記事を書きます。
前提と仮定
MIRARISのルールは・・・ご存じ？
まだだよって人は上記の会津様の記事を読むか、こちらの記事を参考にしよう
keionkakimasen.hatenadiary.com
シミュレーションにあたって単純化のためにいくつかの仮定をします
・プレイヤーは事前に定めた5種類の戦略（後述）に従ってカードを出す。
・最初に決めた戦略は最後まで変えない。
・考慮するのは自身の手札、キャラクターおよび場に出ている奇跡カードのみ。他人の出したカードを見てキャラクターを推定するなどはしない。
プレイヤーが取る戦略は以下の5種類です
戦略0：手札から完全ランダムに1枚出す
戦略1：手札から2枚ランダムに選び、選考基準（後述）に従って良いほうを出す
戦略2：手札から2枚ランダムに選び、選考基準（後述）に従って悪いほうを出す
戦略3：手札全部を見て選考基準（後述）に従って一番いいものを出す
戦略4：手札全部を見て選考基準（後述）に従って二番目にいいものを出す
戦略中に使われる選考基準は以下の通りです
①マリアーノ以外のキャラクターは、なるべく相手が過去3回のラウンドで使ったカードを使おうとする。逆にマリアーノはこれらのカードを使うのを避ける。*2
②場札の山のうち、自身にとって最も得点が高くなる山が取れそうな数字カードを使おうとする。*3
①②それぞれの基準を半々で考慮して、選考対象の手札をスコア付けします。
とった戦略にかかわらず、得点計算時の行動を以下のように仮定します。
ⅰ.「ローランド」は、場に残ったカードのうち特殊勝利条件が満たせるカードがある場合はそのカードを、そうでない場合は最も高い得点のカードを取る。
ⅱ.「ルシア」は、場に残ったカードのうち得点が高いほうから2枚を取る。
ⅲ.「ミレーラ」に渡すカードは、原則として自分が持つ得点カードのうち低いほうから2番目のカードとする。ただし、以下の例外が存在する。*4
ⅲ-1「アンノウン」は可能なら3のカードを渡すのを避ける。
ⅲ-2「アリー」は可能なら2のカードを渡すのを避ける。
ⅲ-3「ファティマ」は持っているなら1のカードを渡す。
ⅲ-4キャラにかかわらず、自身が持つ得点が最低のカードと2番目に低いカードの得点差が3点以上なら得点が最低のカードを渡す。
2周目が発生した場合は上記1,2の例外を除き自身の持つ最低の得点カードを渡す。
結果と考察
以下のグラフでのキャラクター番号とキャラクターの対応はこのようになっています。
ch0:堕ちた魂
ch1:ローランド
ch2:ルシア
ch3:セレナ
ch4:ミレーラ
ch5:アンノウン
ch6:アリー
ch7:エル
ch8:ファティマ
ch9:マリアーノ
ch10:ラナ
ch11:アルマ
ch12:ナーダ
１．全プレイヤーが戦略0（完全ランダム）を選択した場合
試行回数は各プレイヤー数毎に1万回。13キャラ中何人かのキャラを選んで試合を行うため、勝率の合計は1を超える。
3人戦ではch0（堕ちた魂）が勝率約6割でトップ、ch11,12（アルマ、ナーダ）が5割越えで続き、次点でch3（セレナ）ch5（アンノウン）ch10（ラナ）が来ています。
逆に、ch1（ローランド）ch2（ルシア）ch9（マリアーノ）の勝率は低いです。
3人で完全ランダムなので被りにくいマリアーノはまあわかるとして、残りはキャラ固有の得点能力の差が出た感じでしょうか。3人でアンノウンが強く出ているのは少々意外です。
4人戦では傾向は3人戦と大きくは変わらないものの、アンノウンの勝率が上がりアルマ・ナーダを抜いて2位になっています。
5人、6人戦ではアンノウンが堕ちた魂も抜いて勝率トップに。アンノウンと堕ちた魂以外は同じような水準にまとまりました。
実際のゲームでは全員がランダムにカードを出すとは考えにくいのでこの勝率の通りになるとは限りませんが、それでも純粋なキャラパワーを考えるうえで参考にできそうです。
２．全プレイヤーが戦略3（最善選択）を選択した場合
試行回数は各プレイヤー数毎に1万回。13キャラ中何人かのキャラを選んで試合を行うため、勝率の合計は1を超える。
はい。マリアーノの独壇場です。勝率はほぼ100パーセントとなっています。まあ、全員が最善選択をするということはマリアーノにとっては得点のデカい山に対して取れそうな数字を出しておくだけでたいてい被らせることができるので別に不思議でもありません。山が取れたら取れたで勝てるので死角なし*5です。
マリアーノがいない試合では順当に堕ちた魂やアルマ・ナーダがそこそこの勝率になっています。全員が最善選択をすると全く勝てないキャラクターが出てくるというのは興味深いですね。
３．各プレイヤーがランダムに戦略を選択した場合の、キャラクターと戦略の組み合わせごとの勝率
試行回数はプレイヤー数毎に10万回です。横軸が戦略、縦軸が勝率（縦軸はキャラクターごとに目盛りが違うので注意）
勝率そのものの傾向は全員ランダム選択の時とさほど変わりません。各キャラクタ内ではたいていの場合戦略0（完全ランダム）か、戦略2（ランダムに2枚ピックした後悪いほうを出す）を選ぶと勝率を最大化できるようです。マリアーノだけどの戦略でも勝率が横ばいなのが面白いです。
傾向は変わりませんが、戦略0,1,2と戦略3,4の差が少し開きました。最善手を考え出すと逆にドツボにはまってしまうことが予想されます。
お待ちかね、5人戦データです。ぜひMIRARIS学会のTier表と比べてみてください。いや、比べるのもこっちの仕事かも知らん…
堕ちた魂の勝率が高いのはさすがですが、その次に高いのはなんとTier表では最下位だったアンノウン。*6やはり学会では不幸体質だったのか…？*7
マリアーノだけへこんでますが、その他のキャラは大体同じような勝率でまとまっています。
6人になると、手札全部を見ていろいろ考えだすと一気に勝率が落ちるようになります。思い切って全部ランダムにするか、とりあえず何枚かランダムに選んでからその中で考えるほうがむしろ良いようです。マリアーノだけは例外です。被ってもいいからなのか…？
まとめ
キャラクターごとに結構勝率に差が出たり、ランダム選択が意外といい結果になったりするなど、興味深いデータが得られました。今回はプロモ込みでのシミュレーションでしたが、堕ちた魂を抜いても全体的な傾向はさほど変わらないでしょう。*8
とはいえ今回のデータはあくまで一定の仮定の下で数学的にとっており、必ずしも実際のゲームを完全に再現したものではないので、一つの参考として見てほしいと思います。選考基準にしても、得点を重視するか被り避けを重視するかで変わってきますので実際のゲームではこのシミュレーションほど極端な結果にはならないでしょう。
最後になりましたが、コードを書いて実際にシミュレーションを回してくれた友人の鏡兎氏（ https://qiita.com/kagamidokei ）には最大限の感謝を。ｶｶﾞｳｻｺﾞｯﾄﾞありがとう！
また、最高のゲームを出してくださったDOMINA GAMES様、一緒にMIRARISを遊んでくれた学科の仲間たち、そしてこの記事を読んでくださった皆様にも感謝です。
それでは、また次の記事でお会いしましょう。
*1:DOMINA COLLECTERとは、DOMINA GAMESのシリーズ全ての作品を集めたものに与えられる、私が勝手に作った称号です
*2:事前に他人が使ったカードは相対的に被りにくくなります
*3:技術的な話：各枠の得点を正規化して位置を重みづけ期待値と分散を算出して、正規分布を１～９の数字に対応させてスコア付け
*4:「エル」は6,7の奇跡カードが自身の点数にならないため2周目を防ぐために優先的に渡すという戦略も存在しますが、今回のシミュレーションでは考慮されていません
*5:俗にいう筋肉マリアーノ
*7:学会ではメタキャラ筆頭のミレーラが流行っていたらしいのでそれもあるかもしれません
*8:堕ちた魂は特定のキャラへのメタというわけでは無いので。ただ、データは無いので筆者個人の予想ですが。
