こんにちは。ヒトデマンです。楕円曲線論のさわりに書かれてた話が面白かったのでブログに書いてみました。テキストは
にあるので興味ある人はぜひ読んでみてください。俺はまだ2章までしか読めてない。
突然ですが問題です。面積がになるようなすべての辺が有理数となる直角三角形は存在するでしょうか。
これは簡単ですね。辺の長さがとなるような直角三角形が存在することは、理系で大学受験をしてきた方にとっては有名事実だと思います。では、次の問題はどうでしょうか?
面積がになるようなすべての辺が有理数となる直角三角形は存在するでしょうか。
これはぱっと考えても分からない人がいるかもしれません。もちろん、全ての辺が整数になるような直角三角形は存在しません。なぜなら、直角を挟んだ辺の長さをとしたときにとなるような直角三角形の辺の長さはしかないからです。
逆に、整数でないからと言って面積が整数にならないとは限りません。(これも有名な直角三角形の形です)の各辺の長さを半分にしたの面積はであり、これは整数です。
さて、求める直角三角形の辺の長さをとします。三平方の定理と面積の制約から、
が成り立ちます。この二つの式から
となります。
と置き換えると、
となります。ここでわかることがあります。それは、が全て有理数の二乗になることです。
さらに、これらの積も有理数の二乗になります。すなわち、ある有理数について
が成り立ちます。ここで
です(後で使います。)
さて、(A)の解として自明ではないものとして、があります。(ここに多少の天啓が働きます)
次に、での接線と(A)が交わる点を考えます。
(A)の両辺を微分すると
となるのでを代入してこれを解くととなります。
よってでの接線の式はとなります。したがって、
を解けばいいことが分かります。が重解であることに着目すると、解と係数の関係から残りの解はとなることがわかります。これを接線の式に代入すると、となります。からです。(B)よりです。この値からを求めることができます。実際はとなります。これはの各辺を倍したものとなります。
もちろんほかにいい求め方があるかもしれませんが、(あったら教えてください)(A)の式を用いることでほかにも条件を満たすような直角三角形をシステマチックに見つけることができる、というのが重要なポイントです。結局一つ見つけるためには天啓が降ってくる必要があるというのはそれはそうなんですが...。ちなみに面積がの場合も同様の立式でから求められます。
ある自然数に対して面積がかつすべての辺の長さが有理数となる直角三角形があるか?という問題をcongruent number problemというらしいです。n=157の場合が頭おかしいという話は一時期話題になっていましたね
何を食べたらこんなの見つかるんだ…
図はtsujimotterさんのブログから拝借しています。こちらの話も興味深いです。
整数論はシンプルに見えて沼というのが垣間見えます。ではまた。