※イヤホンまたはヘッドホンを接続したうえでお読みください。
どうも、京音4回生の本です。
2021年最初の投稿となります。今年もどうぞよろしくお願い致します。
さて突然だが、私は電子音楽が好きだ。
シュトックハウゼン。ジャン・ミッシェル・ジャール。Kraftwerk。Aphex Twin。Oneohtrix Point Never。みんな好きだ。
自分でも電子音楽を作ってみたい。
しかし、ズブの素人なので何をしたらいいかわからない。
なので、いろいろと実験をすることにした。
今回はその第一弾である。
スペクトログラム
スペクトログラムというものがある。
簡単にいうと、「どの周波数の音がどれくらいの強さで鳴っているか」を時間にそって表示したものだ。
たとえば、つぎの2つの音声を聴いてほしい。
「ドレミファソラシド」を、それぞれ別の音源で鳴らしたものである。
それぞれのスペクトログラムは次のようになる。
スペクトログラムの読み方は簡単だ。
縦軸が周波数、横軸が時間、そして色の濃淡が音の強さに対応している。
下の画像は、上の画像と比べて細かい線がたくさん描かれている。
この細かい線は倍音を描き出したものである。
1つめの音声はサイン波による「ドレミファソラシド」で、倍音をほとんど含まない。
2つめの音声はストリングスによる「ドレミファソラシド」で、倍音をゆたかに含んでいる。
このように、スペクトログラムを使えば音に含まれる周波数を分析することができる。
では、その逆はどうだろうか。
画像を分析して音を作りだすことはできるのだろうか。
逆スペクトログラム
結論から言うと、できる。
なんのことはない、スペクトログラムを生成するときの処理を逆に行えばよいのだ。
そして、それを実行することができるフリーソフトもある。
今回は「The Analysis & Resynthesis Sound Spectrograph (The ARSS)」というソフトを利用した。
以下のページの「Download」からダウンロードすることができる。
使い方は、たとえばこの動画で学ぶことができる。
このソフトを使って、画像を音声に変換していこう。
文字を聴く
まずは、カタカナの「イ」。
イロハの「イ」。伊号潜水艦の「イ」。世界で初めてブラウン管による受像が成功した文字「イ」。どんな音がするのだろうか。
なるほど、たしかに「イ」の音がする。
電子音楽の黎明期につくられた作品に使われていそうな音だ。
どんどんいこう。次は「イロハ」だ。
こんな音がするのか。
ここで問題。
この音声は、なんと書かれた画像を変換したものでしょうか。
正解はこちら。
……続けていこう。
ひらがな。カタカナ。漢字。アルファベット。数字。
メイリオ。MS明朝。游ゴシック Bold。HG教科書体。HGP創英角ポップ体。HG丸ゴシックM-PRO。
文字種の違いが、フォントの違いが、さまざまな音を生み出す。
音楽をつくる
ここで私は考えた。
「このブログのタイトルを聴いてみよう」
なかなかどうして、いいじゃないか。
これだけでも電子音楽とよんでいいかもしれない。
これをAbleton Liveに取り込む。*1
適当に分割して拍に合わせる。
適当にドラムとベースをつけ、エフェクトをかける。
そしてできあがったものがこちら。
思った以上にそれっぽい。
……どうにも耳寂しい出来だが、これくらいが実験というものだろう。
さいごに
今回は、逆スペクトログラムを使用して画像を音に変換してみた。
記事にすることはできなかったが、画像に書き込みをしたりARSSのパラメーターを変化させたりすることで更に新たな響きを生み出すことができる。
読者諸兄も試してみてはいかがだろうか。
こういった実験は今後も続けていきたい。
よい結果が得られたものは、ここで記事として紹介するかもしれない。
最後に、逆スペクトログラムに関連した作品を3つほど挙げておこう。
Bits per sample : 16
Sample rate : 44100
Min. frequency (Hz) : 250.000
Bands per octave : 45.000
Pixels per second : 150.000
【本が書いた記事】
*1:いまだに9 Standardを使っている。早く11を買え